暮らしの手帖

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パッシブハウスとはどんな住まい?

投稿日 : 2019年10月07日 (月)
カテゴリー : 暮らしの情報

「日本の家は寒すぎる。」日本に来る外国人はよく言うんだそうです。

フランスやドイツ、イギリスは、北海道より北にあるのです。地域的には有利で暖かいはずの日本。けれども家が寒い。そして、夏は室内が暑すぎる。。。

なぜでしょう。。。?

その答えは、「家の燃費の悪さ」と日本人の性質「ヤセ我慢」にあったのです。

快適な家って何だろうと考えた時、夏はからっと涼しく、冬は暖かいお家をイメージしますよね。その快適性を確保するために、家の中ではどこのお家でもエアコンやその他機器が日々活躍しています。しかし、日本のお家はどれだけエアコンが頑張っても、外からの影響をどんどん受けてしまう、そんなお家がまだほとんどです。お風呂でいうならば、栓を抜いた状態でお湯をせっせと貯めているような感じです。

引用:http://passivehouse-japan.org/ja/concept/

このように日本の家の性能が悪いのは、おそらく日本人の我慢強い性格も関係しています。寒いけど着込んでがまん。コタツに入って部分的に暖をとるなど、局所暖房の考え方が根強いのもそういった部分があります。

ちなみに各国と比べても、日本の家の性能に対する考え方はかなり出遅れていて、例えば各国では、使用する窓には性能に基準値が定められていますが、日本はその基準値すらないという無法地帯です。。。

性能の悪い家に住むことは、人の身体に悪影響を及ぼすのはもちろんですが、光熱費という形で家計に響き、それだけエネルギーをたくさん使うので環境にも悪く、良いことはありません。

家づくりを検討していく中でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)という言葉を聞いたことがあるかと思います。これは、住まいの構造・断熱性能の確保、創エネ・蓄エネ・省エネによる、総合的なエネルギーコントロールにより、使うエネルギー≦創るエネルギー になる住まいのことを指します。温暖化は国際的にも深刻な問題として議題になっており、国も2030年までに、国内の新築住宅の平均がZEHになることを目標に動いています。もちろん従来の住宅に比べると、人の健康にも、地球にも優しい取り組みです。しかしそれが本当に「燃費の良い家」だとは限りません。なぜなら家の性能がそこそこでも、設備に燃費の良いものを使うことでクリアできてしまうのです。エネルギー資源には限りがあります。これからを考えると、できれば冷暖房機器に頼らず、夏は涼しく冬は暖かい家を実現できる住まいを計画していきたいですよね。そういったシンプルな考えにのっとった家づくりのカタチがパッシブハウスです。

 

パッシブハウスとは?

パッシブハウスとは、環境先進国ドイツの物理学者ファイスト博士が導き出した、家の省エネ基準です。気候変動を止めるため、「これからの家の燃費はこれくらいに抑えないといけない」という考えのもと、厳しい基準を定めています。その満たすべき基準は、年間暖房負荷を15kWh/㎡以下にすること。数値にすると難しいですが、パッシブハウスがどんな家か簡単に説明すると、設備に頼らず、家の性能とことんこだわったお家です。断熱材や、高性能な窓、熱を逃さない換気システムを導入して、徹底的に熱を逃がさないよう工夫しています。

家そのものの断熱性能を高め、家の隙間をなくして気密性能をしっかり高めてあげること(パッシブハウスのC値基準は0.2)で、魔法瓶のような家が出来上がります。また、熱橋と言って周囲の材料よりも熱を伝えやすい部材に対して、きちんと対策してあげることも大切です。

●断熱・気密に関する過去記事はこちらからどうぞ

断熱材の種類と選び方
結露の起こる原因と必要な対策
高気密とは?-住宅に気密性が必要な理由ー

引用:http://passivehouse-japan.org/ja/concept/

この高気密・高断熱というところをベースに、計算しながら自然の力をとり込みます。もちろんそれぞれの国や地域で気候の特性が異なるので、それに合わせて計画していく必要があります。

日本でつくるパッシブハウスは南向きの大きな窓を設けます。
冬は太陽の熱を室内に取り込んでくれる自然の暖房。
北側に空けた高い窓は、夏の熱気を逃がす道に。
計算された庇は夏の日差しを遮り、冬は室内に太陽の光を届けて温めてくれます。

また、熱交換換気という換気の際に熱が逃げたり入ってこないような仕組みを採用することで、
空気はいつもきれいな状態を保ちながら、室内はいつも快適でいられます。

 

2.パッシブハウスのメリット・デメリット

パッシブハウスのいいところは、120平米くらいのお家までなら、6畳用のエアコン一台で、夏も冬も家丸ごと快適な室内温度を保てるということです。各居室にエアコンを設置したり、ホットカーペットや、ストーブを使う必要もありません。今まで住んでいたお家よりも格段に快適で、省エネな暮らしが手に入るのが最大のメリットだと言えます。

一方デメリットは、普通に何も考えずに家を建てるよりもコストがアップする点です。約15~20%のコストアップが相場ですが、実際初期費用にかかったお金を、快適に暮らしながら今後の光熱費で回収していけることを考えると、どちらが良いのかは判断が付きやすいのではないでしょうか?また、今後こういった住宅の普及が進めば日本でも、費用が安くなることも見込まれます。

ただ、どんな土地を選ぶかは大切な問題です。基本的に燃費計算をしながら設計をしていくので、どのような土地でも建てることができますが、日当たりの条件など向き不向きがあります。土地については、もちろんパッシブハウスを計画するかどうかに関わらず、取得前に相談をしてみるのがおすすめです。

 

3.まとめ

建物本体の性能を上げて、自然のエネルギーを家の中に取り込む。エネルギー消費を極力減らして快適に暮らすことは、地球の環境を守ることに繋がります。資源には限りがあります。しかしこれからも人の生活は続きます。パッシブハウスとは、地球のために、住む人のために、持続可能な家のことです。

しかし自分の家のことを考えていたのに、突然世界環境のことを考えるのは難しかもしれません。もちろんまずは自分の暮らしがより良くなることに意識を向けることが大切です。そのためには家づくりにおいて何が重要なのかをしっかり学ぶ必要があります。断熱性・気密性を高めることがマストだという基本的なお家づくりの考え方をまず知って、理解すること。そしてその先に自分たちが使っているエネルギーのこと、地球全体のことまで視野を広げ、本当のエコハウスについて考えていけるといいなと思います。

 

 

 

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