暮らしの手帖

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断熱材の種類と選び方

投稿日 : 2019年01月06日 (日)
カテゴリー : 暮らしの情報

突然ですが、日本の住宅の平均寿命がどれくらいかご存知でしょうか?先日の暮らしの手帖「いい家の基準とはどんなものか」でも触れていましたが、国土交通省は「平成27年度 住宅経済関連データ」の中で、各国の壊された住宅の建築後平均年数、つまり住宅の寿命を発表しています。こちらはその数値を簡単にグラフにしたものです。

 

グラフの通り、イギリスは80.6年、アメリカは66.6年、これに対し、日本の住宅は32.1年です。他の国が50年以上同じ家に住み続けられているのに対し、日本の住宅はたった30年という短い結果が出ています。

同じ先進国と言われる国であっても、なぜこんなにも差があるのでしょうか?その答えは、簡単に言うと日本の家が腐りやすいからです。家を腐らせる正体は、結露の起こる原因と必要な対策でも触れていた「内部結露」です。壁の中など見えないところに湿気がたまり、結露が発生し、長い年月をかけて構造材を腐らせてしまう恐ろしい内部結露。発生する原因は、家の断熱性能が低いことにより、家の中で温度差が発生するためです。そうならないよう家を建てる際は適切な断熱材を選び、施工を行います。

断熱材とは、熱移動を防ぐための素材で、建物の壁や天井、床などに使用されます。外からの暑さ・寒さを遮り、室内を一定温度に保つ役割を担ってくれる、家づくりには欠かせない素材です。断熱材の多くには、無数の空気の小部屋があり、熱が逃げていくのを防いでくれます。ガラスを繊維状にしたグラスウール、玄武岩などから生成されたロックウール、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、などなど…種類は様々です。

それぞれの断熱材の性能値は「熱伝導率(Wm/k)」というもので表記されています。熱伝導率とは、厚さ1メートル・面積1㎡の断熱材を隔てて、両側に1℃の温度差があるとしたとき、1秒間にどれくらいの熱量が移動するかを表す数値です。数値が小さいほど熱を伝えにくく、断熱性能が高いとされています。

値段や性能値はカタログにも表記されているので簡単に調べることができますが、何を基準に選べばよいのでしょうか?自分の建てる家に何が使われるのか、それがどういうものであるかを知っておくことは、建てた後に後悔しないためにも大切なことだと思います。今回は、少しマニアックなお話になりますが、断熱材の種類や特徴、選ぶときのポイントについてご紹介させてください。

断熱材の種類

断熱材の種類は、大きく分けると繊維系断熱材発泡プラスチック系断熱材の2種類があります。

繊維系断熱材とは、細かい繊維の隙間に空気を閉じ込めるタイプ。繊維自体の太さや、密度によって熱伝導率が変わってきます。発泡プラスチック系断熱材は、プラスチック素材の中に無数の細かい泡を閉じ込めている構造の断熱材です。こちらもプラスチック自体の熱の通しやすさに加え、閉じ込めている気泡の数や大きさで変わってきます。両方に共通していることですが、断熱性能は素材そのものの熱の通しやすさだけで決まっているわけではありません。素材自体の熱の通しやすさに加え、空気の層をつくること、つまり断熱材の中に空気をうまく取り込むことが性能を左右します。

これらを素材ごとに細かく分類すると、8種類の断熱材があります。特徴と、メリット・デメリットについてまとめてみました。

繊維系断熱材 | ①グラスウール

グラスウールは、ガラス(主にリサイクルガラス)を高温で溶かし、綿状にした細い繊維の集まりのことです。細い繊維同士が絡まり合うことによって空気を閉じ込め、軽量かつ断熱性の高い素材として活用することができます。住宅の中でも屋根・天井・床・壁用と幅広く使われており、施工方法も様々。ボード状のものをカットしたり、吹き込み式のものもあります。

流通量が多いので比較的安価で手に入り、性能値もさほど劣らないところが魅力です。素材がガラスなので燃えにくく、シロアリの被害にもあいません。吸音性もあるため、防音効果が期待できます。しかし、湿気に弱いのが難点で、湿気を吸うとその重みでグラスウール自体がつぶれてしまい、壁の中がスカスカになって期待通りの断熱性能を発揮できなくなってしまいます。そうならないよう、きちんと防湿シートを隙間なく施工してくれる会社かどうかを確認しなければなりません。

また、施工されてしまえば人の手に触れる機会はそうそうありませんが、ファイバーガラスは皮膚に入り込むと痛みやかゆみを引き起こすことがあります。その他、ボード状に固められたタイプがあるとお話ししましたが、その接着材として使用されている原料がホルムアルデヒドという有害な化学物質を含んでいるという点もネックです。常温で何か被害をもたらすわけではありませんが、燃やすと飛散するので、使用するならそういった安全面も考えたいところです。

 

 

繊維系断熱材 | ②ロックウール

ロックウールは、グラスウールと非常に性能的に似ています。価格はグラスウールより高くなりますが、それぞれの性能もグラスウールをやや上回ります。ロックウールは、名前の通り岩を原料にして作られています。鉱物を、1500〜1600℃で加熱し、遠心力などで吹き飛ばすことで繊維状にしています。原材料としては、玄武岩のような天然鉱物を用いる場合もありますが、鉄鋼スラグが原材料として用いられることもあります。

耐火性能、吸音性ともにグラスウールより性能が良く、600℃まで加熱しても変形もせず、燃えません。しかし、グラスウール同様湿気に弱いのに加えて細かい部分の施工が難しく、カタログ通りの性能値を出すことがなかなか難しいという難点があります。

 

 

繊維系断熱材 | ③セルロースファイバー

セルロースファイバーは、回収した新聞古紙を主原料にして作られた、環境に優しい断熱材です。断熱材として高い断熱性能を誇るだけではなく、吸放湿性、防音性、防火性、防虫効果など、断熱以外にも多くの性能を発揮してくれるすごくバランスの良い断熱材です。

セルロースファイバーは綿状の断熱材で、壁内の空洞に吹きつけていきます。隙間なく施工ができる上、専門の業者さんが作業をするので現場ごとの性能のブレがほとんどないのが魅力です。価格はグラスウールよりも少し高くなってしまいますが、グラスウールやロックウールと大きく違うのは、調湿性があるところ。壁内の湿度を調整してくれるので、内部結露対策に非常に適した断熱材だと言えます。

 

 

繊維系断熱材 | ④インシュレーションボード

インシュレーションボードとは、細かく粉砕した木材を一定の厚みで固めてボード状にしたもの。素材に木材を使用しているため、シロアリの被害を受けやすく、熱伝導率もその他の断熱材と比べると劣るため、現状としてはほとんど断熱材としては使用されていません。吸音性があるため、屋根や床の下地材として使用されることが多いです。

木材のチップに対してアスファルトを添加したものはシージングボードと呼ばれ、こちらはサイディングボードなど外壁用の下地として使われることが多い材料です。

 

次に、発泡プラスチック系断熱材の特徴を見ていきたいと思います。原料がプラスチック(石油)で、素材の中に無数の細かい気泡を閉じ込めることで空気層をつくり、断熱性能を発揮するタイプです。素材ごとに分けると、こちらは5種類あります。

 

 

発泡プラスチック系断熱材 | ①ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)

ビーズ法ポリスチレンフォームとは、いわゆる発泡スチロールのことです。魚屋さんなどで、よく保冷容器として使用されているのを目にしませんか?カップラーメンの容器も同じですね。保温性・保冷性に優れた素材であることが、なんとなくイメージしやすいかと思います。素材をよく見てみると、小さな白い粒々が集まっています。これは、ポリスチレン樹脂を細かくビーズ状にし、数十倍に膨らませて大きくしたものです。それぞれが空気層をもつ粒の集合体として、機能しています。

非常に断熱性能に優れ、施工もしやすい上に割と安価な断熱材です。水分を吸わないため、結露の心配もありません。しかし熱に弱く、もし火事が発生した場合は外壁が無事でも、EPS自体が縮んでしまい、断熱性能を発揮できなくなってしまうといううデメリットもあります。

 

 

発泡プラスチック系断熱材 | ②押出法ポリスチレンフォーム(XPS)

材料はビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)と同じプラスチックから出来ています。押出法ポリスチレフォーム(XPS)は、押出機の中でポリスチレンと発泡材を混ぜ、押出機の外に押し出されたタイミングで発泡します。これを一定の寸法にカットしたものが、施工の現場で断熱材として使われています。

原料の同じ発泡系の断熱材です。ビーズ法ポリスチレンフォームと性能がよく似ており、水分に強く熱に弱い点は同じですが、粒の大きさが押出法ポリスチレンフォームの方が小さく、断熱性能が押出法ポリスチレンフォームの方が高いことが特徴です。しかし、経年劣化による性能の低下があるというデメリットがあります。

 

 

発泡プラスチック系断熱材 | ③ウレタンフォーム

ウレタンフォームは、ポリイソシアネートとポリオールという成分を、発泡剤や触媒などと一緒に混ぜてできた材料です。
身近なものだと、ソファーのクッション材、まくら、食器洗い用のスポンジなどがこれにあたります。このウレタンを発泡させ断熱性能を高めたものが、断熱材として使われるウレタンフォームです。

工場で発泡しボードの状態で出荷する硬質ウレタンフォーム、現場でスプレーすると同時に発泡させる現場発泡式ウレタンフォームの2種類があります。硬質ウレタンフォームは衝撃に強く、断熱性能も高いのですが、現場施工時にぴったり施工できずに隙間ができると性能が発揮できません。一方、現場吹き付ける現場発泡式ウレタンフォームは、高質タイプより断熱性能はやや劣るものの、隙間なく充填できるので気密性がとりやすいのが特徴です。しかし、断面にきちんとした防湿対策を行わなければ、断面から水を吸ってしまい、結露の原因になってしまうので施工上の注意が必要なのは変わりありません。

そして両方に言える注意点がもう一つあります。それは燃えたときに有毒ガスであるシアン化水素を発生するということです。火災で亡くなっている方の半分は、窒息や中毒によって亡くなっています。万が一燃えたらの話だから…と割り切るには怖いですし、周りへの配慮も考えたいところです。

 

 

発泡プラスチック系断熱材 | ④フェノールフォーム

フェノールフォームは、熱硬化性樹脂の1つです。熱硬化性樹脂とは簡単にいえば、熱に強くて燃えにくい樹脂のことです。

 

耐火性があることに加えて燃えたときに有毒なガスも発生しませんし、断熱性能も圧倒的に高い。水分にも強く、経年劣化が少ないこともメリットです。しかし性能が優れている分、価格が高いのと、フェノールフォームに限らずですが、発泡プラスチック断熱材は、シロアリには弱いという点があります。

 

それぞれ、特徴を見てきましたが、実際に断熱材を選ぶ際にはどういったことに気を付ければいいのでしょうか?断熱材の性能値以外にも以下、5つのポイントを参考に見てみてください。

1.耐火性があるか

2.燃えた時に有毒ガスを発生させないか

3.耐熱性があるか

4.耐湿性があるか

5.施工時に気密がとれるか

1~3は、火事など万が一の事態が起こった際、自分の大切な資産である家と、自分や周りの人の命を守るためにとても大切なことです。また、耐湿性がなければ湿気が中に入った際に水分を吸ってしまい、そもそも断熱材としての役割を果たせなくなってしまいますし、施工時に気密性が確保できなければ、せっかく性能値の良い断熱材を使っても意味がなくなってしまいます。。。

住んでいる地域に合わせて、性能・施工性・価格のバランスなど、総合的に見て考える必要があります。それぞれの断熱材の特徴を知ると、自分の住宅には何が使われようとしているのか、それできちんとした断熱性能が確保できるのか、気になりますよね。今後の暮らしの快適性を左右する、とっても大切な内容だと思います。これから家づくりをされる方はぜひ、依頼する施工会社さんに尋ねてみてください。

 

 

 

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