暮らしの手帖

フルマークハウスからの新たなお知らせや、日々の暮しにまつわる情報を綴っていきます。
これからの暮らし方のヒントや、すまいづくりに役立つ情報をお届けします。

接道義務とは?

投稿日 : 2020年04月14日 (火)
カテゴリー : 暮らしの情報

 

新しく家を建てよう!そう思った時に、どんな場所でも家が建てられるわけではありません。たとえば、都市計画区域や、準都市計画区域に家を建てようと思った場合、「建築基準法」では、建物を建築する際に敷地と道路が繋がっていなければいけない、という「接道義務」というものが定められています。そして、この道路自体も、どんな道路でも建ててOK!というわけではないので注意が必要です。今回は、接道の条件と、その条件を満たせない場合の対処についてまとめてみたいと思います。

 

 

1.そもそも接道とは?

「接道」とは、建物を建てる敷地に接している道路を指す言葉です。「接道義務」とは、建築基準法第43条で規定されている内容で、「建物の敷地は、『建築基準法上の道路(幅員4m以上の道路)』に2m以上接していなければならない」というものです。災害が発生したときに、迅速に避難するためにも大切なことです。敷地の一部が2m接道していることで、要件を満たしていると認められます。

 

2.どんな道路でも大丈夫なわけではない?

どんな道路でも大丈夫ではない、ということに最初で触れていましたが、建築基準法上の道路に接していなければいけません。建築物と道路の関係は、建築基準法の第42条の中で細かく規定、説明されています。その道路は大きく6つに分けられます。

□42条1項1号道路

・県道、市道などの道路
・管理は都道府県や自治体によって行われている
・幅員4m以上の道路

□42条1項2号道路

・都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法などに基づいて再開発許可がおりて造られた幅員4m以上の道路

□42条1項3号道路(既存道路)

・建築基準法が適用される以前の道路(公道・私道どちらも)
・具体的に言うと、昭和25年11月23日時点ですでに存在していた道路のこと
・「道が狭い」などの問題が残っている道路が多い。

□42条1項4号道路(計画道路)

・道路法、都市計画法、土地区域整理法、都市再開発法などによって2年以内に新設、または変更される予定として特定行政庁が指定した幅員4m以上の道路のこと

□42条1項5号道路(位置指定道路)

・不動産業者など、民間によって土地を区画割りして家を建築することを目的として作られた幅員4m以上の道路のこと。
民間の申請により、特定の行政庁から位置の指定を受けた幅員4m以上の道路
・位置指定道路かどうかは、役所の建築指導課などで調べてもらえます。

42条2項道路(みなし道路)

・建築基準法施行時に、すでに建物が建ち並んでいた土地に接する幅員4m未満の道路で、「ある一定の要件を満たす道路であれば、幅員が4mに満たなくてもよい」と特定行政庁が指定した道路のことを言います。
・道路の幅員が4m未満の為、家を建てる際はセットバックという行為が必要になります。

 

 

3.セットバックとは?

接道義務は基本的に幅員4m以上の道路に対して規定されていますが、4m未満の道路に接道することも認められています。先程ご紹介した道路の種類に、42条2項道路(みなし道路とも呼ばれる)ものがありますが、これが該当します。建築基準法によると、幅員1.8m以上であれば、道路が4m以上あると仮定して家を建てることができます。

「え?どういうこと?」

と思われたかもしれませんね。
具体的には、道路に面している土地を道路の中心線から2m後退させる必要があります。建築基準法では、セットバックされた部分は道路とみなされます。ゆくゆく、その道路沿いの家々が建替えられたときには、それぞれの敷地で2mずつセットバックされて、幅員4mの道路が完成している、という考え方ですね。

ちなみに、道路の反対側が河川や崖、線路などの場合は、今後反対側へのセットバックをする可能性はないので、中心線から4mの位置までセットバックする必要があるので注意が必要です。

また、セットバック部分は道路とみなされるとお伝えしましたが、その関係で建蔽率や容積率も変わってくるので、建築可能な家の大きさが変わってきます。同じ土地で建替えを検討される方は、立地によっては同じような広さでは建てられないこともあるので、注意が必要です。

建蔽率・容積率についてはこちらのブログからどうぞ☺
土地探しのポイント

 

 

4.43条但し書き通路とは?

建築物は、建築基準法43条によって、「『建築基準法上の道路(幅員4m以上の道路)』に2m以上接していなければならない」と定められており、その道路の要件は42条に記載されていますと説明してきました。

しかし、建築基準法42条内に全ての道路が収まっているのかというと、そうではありません。基準内におさまらない、道路としてみなされていないところももちろんあります。こういった通路は、既定の道路ではないため、原則として家が建てられません。しかし、建築審査会というところに申請し、許可がおりると、建築を認められることがあります。

このように、建築基準法上の道路に接していなくても、基準に適合し、安全が確保できれば建築できますという特例を定めたものが43条但し書き通路です。

この国土交通省の定める基準は、下記通りの内容になっています。

●その敷地の周囲に公園・緑地・広場などの広い空地があること
●その空地が、農道その他これに類する公共用の道(幅員4m以上のものに限る)に2m以上接すること(農道、河川管理道路、港湾施設道路など)
●その敷地が、建築物の用途・規模・位置および構造に応じて避難や通行の安全の十分な幅員をもつ通路で、道路に通じるものに有効に接すること

ざっくりいうと、「道路はないけど周りに広い空地がある」または、「道路みたいなものはあるけど、建築基準法上の道路に該当しない」の2つのパターンがあります。このうち多くは後者のパターンです。

注意点として、建てられるかどうかは建築審査会に実際に申請をしてみないとわからない、というところ。また、許可が下りたとしてもその土地での建築を未来まで許可するものではなく、建て替えなどをする場合はその都度また建築審査会からの許可が必要になってきます。

また、住宅ローンを借りる際も、ローン審査の際は「借りる人の返済能力」と、担保となる「住宅の価値」の部分を大きく見ていくのですが、〝再建築不可〟という部分で「住宅の価値」を下げてしまい、希望した融資額を借入できなかった…なんてこともあるようですので、注意が必要ですね。

住宅ローンについての関連記事はこちらからどうぞ☺

住宅ローンはどれがいいの?ー変動金利・固定金利についてー
●フラット35って? | 住宅ローンを選ぶ
つなぎ融資って? | 住宅ローンを選ぶ

 

5.まとめ

接道義務って、土地を探し始めたら耳にすることだと思いますが、小難しくて何のこと?となりますよね。自分の土地が接する道路はちゃんと建築基準法上の道路なのか?また、セットバックなどは必要ないのか?こういったことを、土地を購入する前にきちんと知っておくことで、予想外の費用を負担したり、希望する広さの家が建てられない…銀行から融資を受ける際のトラブルなどを避けることが出来ます。

後から接道に問題があると判明しても、対処しきれない場合もあります。接道要件を満たしている土地か?また、満たしていない場合は解決可能な土地なのかを含めて、慎重にチェックが必要です。

土地探しの際は、ぜひ接道についてもきちんと調べた上で、検討することをおすすめします。参考になれば幸いです。

 

 

 

この頃の投稿