暮らしの手帖

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二世帯住宅の間取りを考える ―タイプ毎のメリット・デメリットについてー

投稿日 : 2019年01月19日 (土)
カテゴリー : 暮らしの情報

家づくりと家族やお金の問題は切っても切り離せないものがあります。

・そろそろ親の面倒を見てあげたい
・共働きで大変だから親に育児・家事を手伝って欲しい
・家を建てたいけど、土地まで購入する費用がない。
・親の家を建て替えたい

こういった理由から、二世帯住宅を検討する方も多いのではないでしょうか。

相続や、経済面でもプラスになることも多い二世帯住宅ですが、一方で、間取りをしっかり計画しないと住んでから家族間でのトラブルを招いたり、ストレスを感じてしまう恐れも…。

せっかく家族みんなで幸せに暮らすための家を建てたのに、家づくりをきっかけに家族間の空気が変わってしまった!そんなことになったら残念ですよね。そうならないように、今回は二世帯住宅を考える上で押さえておきたい(整理しておきたい)ポイントや、二世帯住宅の間取りの形態毎のメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。

 

1.二世帯住宅の間取りを考える際、押さえておきたいポイント

2つの家族が同居する家づくりをするためには、使い勝手を考えるだけではなく、通常の住宅よりもプライバシーに配慮する必要があります。それぞれのご家族で価値観が違うと思うので、間取りを考えていく前にストレスの種となりそうなことや、譲れないポイントなどを世帯間でよく整理する必要があります。以下、6つの項目に分けて、話し合っておくべきポイントをまとめました。

①予算の把握
まず、家づくりの資金をどれくらい用意するかというのは大切なところです。建築コストや、どれくらいの広さの家が計画可能か、また、キッチンやトイレなどを含め、いろんな場所を共有のスペースとして使うか否かで予算は大きく変わってきます。プランを共有型か分離型にするかなど建物の全体像を見ていくうえでも非常に大切です。

②それぞれの世帯の生活習慣の違いを整理する
年齢が違えば生活リズムも異なって当然です。例えば働き盛り・子育て世代の夫婦と、定年を迎えた夫婦では家での時間の使い方が全然違ってきますよね。

1日を通して、

・起床時間
・洗面、歯磨きなどの身支度の時間
・出勤、外出、帰宅時間
・食事の時間
・入浴時
・就寝時間

などなど、共有の場所を使う時間帯や、物音をたてるのに抵抗がある時間帯にもに差があると思います。(親世帯が寝ている時間帯にお風呂に入ったり、ドライヤーを使ったりするのはやっぱり気になりますよね…)
これらを整理することで、LDKと寝室のレイアウトや、水回り・玄関を共同にして良いかが見えてきます。もちろんトイレやキッチンなどの設備関係を共同にせず独立させると、単純にそのあたりの費用が2倍になってきますのでご予算との兼ね合いも問題ないか考えて進めていく必要がありますね。

③家事の仕方の違い
生活リズム同様、家事の仕方にもそれぞれ違いがあると思います。二世帯住宅に限ったことではありませんが、家の設計を進めていく中で、家事の仕方は間取りや収納にも大きく影響するので、きちんとヒアリングをして反映していきます。それぞれの世帯での家事の仕方を把握し、どんな間取りにしていくか考えていきます。

④それぞれの趣味
どこでどんな趣味を楽しみたいか?という部分も、間取りを決める上で大切なところです。
ガーデニングや家庭菜園が趣味であれば庭をとってそのスペースを確保する必要がありますし、趣味の部屋とまでいかなくても、そのスペースをどこに設けるかというのもプランを作成する上で重要です。次項で触れますが、人を招いてのおもてなしが好きな人であれば、共有の広いLDKを設けたり、または気を遣わなくて良いように世帯を完全に分離した形で話を進める必要も出てきますね。

⑤来客の人数や頻度
どちらの世帯にどれくらいの頻度で、何人ぐらいの来客があるのか?

それに応じて、
・玄関を共通のものにするか、分離型にするか。
・玄関やLDKの広さは?
・LDKとプライベートなスペースの繋がり

こういったことに関わってきます。

⑥将来の建物の使い方
例えば自分の親夫婦+自分の世帯(夫婦+子供2人)で暮らす二世帯住宅を建てたとします。自分の子供が大人になって、世帯を持った時に使ってもらうというならば話は別ですが、いずれは自分たち世帯のみで住むときが来ます。子供が自立して出て行ってしまえば実質夫婦2人になるわけですね。そうなった時に、親世帯のスペースをどうするか?という問題が必ず出てきます。共用部がない、完全分離型のプランの場合は、将来的にリフォームを加えて賃貸として貸し出すこともできます。2世帯住宅の間取りの難しいところは、いずれは2世帯で暮らす家ではなくなる可能性も加味して計画していく必要がある、というところだと思います。世帯間でよく話し合ってから進めていくことが大切になってきますね。

 

2.二世帯住宅の間取りタイプ(完全同居型・部分共有型・完全分離型)別メリット・デメリット

上記を整理した上で、どんな形にするのがベストか?と考えたときに、二世帯住宅には、大きく3つのタイプがあります。

a.完全同居型:二世帯が同じ住居を完全に共有するタイプ

メリット
・費用負担を最小限にできる
・親にも家事を手伝ってもらえれば負担が減る

デメリット
・プライバシーを確保できない

設備を完全に共有するので3タイプの内建築費が最も安く、光熱費や食費も抑えることが出来ます。共働きで親世帯に家事や子育てのサポートをお願いしたい人にはおすすめです。
一方で、居室や寝室以外は全て共有なので、世帯間でのプライバシーが十分に確保できないという点がネックになります。様々な家事スペースも共有することになりますので、それぞれの家事のやり方や、生活習慣の違いをお互いに許容できる方でないと難しいかもしれません。
費用を浮かせたい、親世帯との関係が良好で、お互いにある程度何でも言い合えるような間柄であれば何の問題もありませんが、最悪反りが合わず別居になってしまった…なんてことにならないよう、しっかり考えておく必要がありますね。

b.部分共有型:別々に暮らすけれどもキッチン、風呂、洗面所など、設備の一部を共有するタイプ

メリット
・プライバシーを確保しつつ、親とのコミュニケーションも取れる
・建築費を完全分離型の間取りよりも安くできる

デメリット
・設備を共有する以上、やはり気は遣う→どこまで共有にできるかの選択が難しい

どこを共用にするかでも色々とメリット・デメリットがあります。
キッチンを共用のものにすれば、共働きで夕飯の準備が間に合わない時は親世帯を頼ったり、サポートを受けやすいという点がありますね。一方でお料理にこだわりのある方はお皿や調理器具をしまう場所の検討、使いたい時にタイミングが被ると気を遣って使えないなどの問題があります。

お風呂や洗面所、トイレはキッチン以上に、使いたい時に使えないとストレスを感じてしまう場所になりますし、来客が多い家だと、LDや玄関が共用だと気を遣います。
そのため、はじめのポイントでも触れていましたが、お互いの生活リズムを事前によく確認しておくことをおすすめします。

c.完全分離型:すべての設備を完全に分離するタイプ。同じ建物だけどすでに玄関から分かれている。

メリット
・親世帯に気を遣う必要がない
・プライバシー空間を確保できる
・将来的に賃貸として使用したり、売却することもできる

デメリット
・完全同居型よりも費用負担(家の建築費、設備費、食費)が大きい
・親世帯との関係が希薄になりがち

完全分離型は玄関を含め、すべての設備、生活空間を完全に2つに分けます。その為互いのプライバシーが確保でき、互いに干渉せずに近くで暮らしたい、という方には大変
おすすめです。
一方完全共有型、部分共有型に比べると、互いに顔を合わせる頻度は少なくなるので世帯間での触れ合いは少なくなると言えます。建築費が高くなるのに加えて、生活も別々の暮らしとなればそういった面でもお金はかかります。適度な距離を保ちながら暮らせる代わりにコストはかかる。一方で将来的な使い道が広がるというメリットもありますので、2世帯でなくなった時の家の管理という面でもしっかり話し合うことをおすすめします。

ちなみに、完全分離型は1階に2つ玄関があり、親世帯が1階、子世帯が階段を昇って上下に分かれて暮らすタイプと、屋根は繋がっているけど壁で仕切られて暮らす縦割りタイプがあります。

それぞれに良い所があり、縦割りタイプは将来的に片方使わなくなった時に賃貸に出したり、売却できるというメリットがあります。ただ、親世帯の足腰が弱くなった時に2階部分がデッドスペースとなる可能性も。

上下横割りのタイプは、同じように親世帯の介護が必要になった場合も1階部分をバリアフリーにすることもできますし、生活はしやすいでしょう。一方で、上下に設備が設けられているので水回りの配管計画をきちんとしていないと、下の階に音が響きがちです。

それぞれのメリット・デメリットを把握した上で検討したいですね。

 

3.まとめ

2世帯住宅を考える上でまず整理しておくべきポイント、3タイプある2世帯住宅の特徴について書いてきましたが、間取りを考える上での要点を簡単に絞ると、

・親世帯とうまくやっていけるか?
・プライバシーをどこまで確保する必要があるか?
・費用をどれくらい出せるか

上記について、ご家族でよく考えて頂き、出た結論に対して特徴に合った間取りを選択・検討していくのがベストなのではないかなと思います。
お家づくりのご参考になれば幸いです。

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