暮らしの手帖

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エアコンは「大は小を兼ねない」

投稿日 : 2019年05月13日 (月)
カテゴリー : 暮らしの情報

吉田兼好も言っていた「住まいは夏を旨にすべし」。しかし、全国の尊敬するスーパー工務店さん達や、良い家づくりをしていこうと力を入れている方々はやっぱり「住まいは冬を旨にすべし」だと高気密高断熱住宅に力を入れてきました。その結果冬暖かく過ごしやすい家が増えてきて、フルマークハウスの住まいも、冬には家中どこへ行っても温度差が小さく暖かな住まいで快適になってきています。

長崎のような温暖な地域で家づくりをしていく私たちは、夏も過ごしやすい快適な住まいというのも力を入れて研究しています。暖房より冷房の方が実は難しく、様々な要因を考慮していかないといけません。

設計でカバーできる外的要因を踏まえた家づくりをした上で、本当の夏を旨とした家  とは、エアコンでつつましく冷房できる家だと思います。では、できるだけ効率良く少ない電力で冷房するには、どんなエアコンを選べばいいでしょうか。

まずは、少ない電気で多くの熱を取り除いてくれるエネルギー効率の高いエアコンが望ましいです。これは「年間エネルギー消費効率 APF」と呼ばれ、カタログや省エネラベルに記載されています。APFが大きくなるほど、電気で処理できる熱量が多くなるので省エネになります。各メーカー比較してみると、APFは 5弱~7.5 でグレードによって省エネ効率も高く様々な機能性も増えていくようです。

次に、どのくらいの能力のものを選ぶかです。「わからないから、だいたいリビングから繋がってる空間25畳で、一番仕様として近い23畳用」とか「主人は暑がりだから8畳の寝室だけど10畳用付けとけば冷房も利くかな」とか、、

冷房の能力が大きいほど(◯畳用という数字が大きいほど)APFは低下します。エアコン能力は2倍3倍になっても、室内機室外機はそう大きくはなりません。自動車でいえばすべて車種は軽自動車で揃え、エンジンだけパワーアップしているようなイメージです。エアコンを選ぶときには小型の能力の中からAPFの高いエアコンを選ぶのがベターだと思います。冷房能力2.5kw程度(≒8畳用エアコン)がコストと性能のバランスが一番いいという噂もあります。

ポイントになることは、エアコンがフルパワーで動く時間はそれほど多くないということです。稼働時間の大半、フルパワーの半分以下のトロトロ運転でエアコンは動いています。ハイパワーのエアコンは、こうした低負荷時に効率の落ち込みが大きくなるそうです。高回転型のスポーツカーで渋滞をのろのろと走ると燃費が悪くなる、とイメージしてもらえればわかりやすいでしょうか。逆に低負荷領域での効率アップを考慮してある機種は、実用的で節電が期待できお勧めです。デュアルコンプレッサー搭載機種などがこれに該当します。

ここ10年くらいは、古くなったエアコンを新型に買い替えることで大きなエネルギー効率の向上で節電を期待できました。これから10年後は今のエアコンを買い替えたとしても、そう大きな効果は期待できなくなるほどハード面の性能向上はなされたといわれています。

一番お伝えしたいことは、ついつい大きめのエアコン機種を入れがちなことと、そもそも「◯畳用」の目安としている家の性能が悪すぎて今の住宅では明らかに能力過剰なエアコン、そのどちらのパターンも使用時の効率低下を招いていますよ、ということです。

カタログや店頭で見る「◯畳用」の表示は、断熱等級3程度の貧弱な性能の家を想定しています。古い家やアパートでの使用ならいいのですが、新築の家や性能がよさそうな建物ではオーバースペックになるということを踏まえて購入してください。

断熱と日射遮蔽が徹底された高性能住宅では、ロフトなど高い場所に1台だけエアコンを設置して家中を冷房することが可能です。冷たい空気は重たいので自然と下に降りてきます。冷房負荷も1台に集中するのでエネルギー効率が高く、省エネになります。デメリットは家中に冷房が行き渡るのに時間がかかるので、暖房と同じで家中温度差がないような温度環境にしてキープするようなエアコンの使い方になることを理解しないといけません。熱い炎天下の外から帰って来て、急激に冷房設定を強めて、エアコンの下で涼まる、リビングをガンガンに冷やす、といった使い方ではないということです。

最小のエアコン台数で、温度差のない快適な温度環境に持って行き、しかも省エネ。全館空調をコスパよく実現する。そんな家づくりを目指して私たちも検討を重ねながら、実際に体感して理解してもらいながら打合せを進めてます。

エアコンの選び方、節電の方法をちょっと知ってもらうことで、エアコンと仲良く省エネに暮らせますように(笑) 省エネについての内容は、前真之先生(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻助教授)の「エコハウスのウソ」を参考にさせていただいています。とても面白くわかりやすい内容ですのでお勧めです。併せて、前回のエアコンのお話もまだの方は読んでください:エアコンは「思ったより電気を消費していない」

 

 

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