暮らしの手帖

フルマークハウスからの新たなお知らせや、日々の暮しにまつわる情報を綴っていきます。
これからの暮らし方のヒントや、すまいづくりに役立つ情報をお届けします。

窓の選び方(ちょっとしたことが大きな性能差を生む?)

投稿日 : 2019年01月18日 (金)
カテゴリー : 暮らしの情報

住宅には外壁、窓、天井、床、換気と、熱の出入り口が5ヵ所あります。このうち、どこから1番多くの熱が逃げていると思いますか?

答えは「窓」です。

「窓はダウンジャケットに空いた穴」という例えられることがあります。実に室内の約50%の熱が、窓から逃げると言われています。建物の躯体部分の断熱対策も重要ですが、快適な家づくりには断熱性能の良い窓を採用することも欠かせません。

 

YKKサイトより引用

こちらは、各国の窓の断熱基準を示したものです。断熱性能は、熱貫流率(W/㎡・K)で表されています。これは、室内外の空気温度に1℃の差がある時、1時間に窓1㎡あたりを通過する熱量を示しており、数値が小さいほど熱を通さず、断熱性能が良いということを表します。日本の1~7で表された地域は、国の省エネ基準やZEH基準などで、地域ごとに断熱基準値を要求する際に定めたものです。1~3地区というのは日本の中でもっとも寒い地域である北海道~東北を指しますが、ドイツ・中国・アメリカの同緯度の地域の数値に全く及ばないというのが現状です。国内では温暖とされている5~7の地域に至っては、4.65とかなり悪い数値になっています。

諸外国と比較して、こんなにも日本の窓の性能が低いのはなぜでしょうか?窓はガラスと窓枠から出来ていますが、使われている窓枠の素材に大きな原因がありました。

窓枠(サッシ)の素材は以下の3つです。※()内は熱貫流率を記載しています。

  • アルミ(200W/mK)
  • 樹脂 (0.2W/mK)
  • 木  (0.16W/mK)

パッと見てもアルミの性能値が他2つと比べて非常に悪いことがわかるかと思います。その差はなんと樹脂や木と比べて約1000倍!それだけ熱を通しやすい素材なんです。

引用:日本エネルギーパス協会

こちらのグラフは、諸外国のサッシ普及割合をグラフ化したものです。現在アルミサッシは、おそらく先進国では日本でしか積極的に使われていません。断熱がそこまで重視されていなかった当時、アルミは加工しやすく、錆びにくく、耐久性にも優れ、安価で大量生産できるという、高温多湿な日本の風土にマッチしたコストパフォーマンスの良い素材だったのは間違いありません。しかし断熱性能は最悪です。。。

樹脂サッシは、アルミの約2倍くらいの値段ですが、断熱性能の良さはアルミと比べるまでもありません。アルミと比べて紫外線に弱いという話を聞くこともあるかと思いますが、30年ほどは品質を保持できるといわれていますのでそれほど大きなデメリットと捉えなくてもいい気がします。現に、諸外国では樹脂窓が50年ほどの実績がありますが、大きな問題があって採用されなくなったという話は聞かないため、実用上は問題ないと言えます。

木製サッシは、見た目も性能もいいですが、ガラスとフレームを別の工場で作り、建築現場で組み合わせる必要があるなど生産工程が増える為、コストは樹脂窓よりもさらに高くなります。

現在ではアルミの欠点を補いつつ、価格のバランスをとったアルミと樹脂のいとこどりをした複合サッシというものも流通しています。

YKKサイトより引用

室外側が耐久性に優れたアルミ、室内側が断熱性能の高い樹脂、それぞれが合わさった複合サッシは、オール樹脂のものには及びませんが、熱貫流率2.0を下回る高性能なものも出てきている為、住んでいる地域によってはうまく取り入れるのもいいかもしれません。

しかし、時代は変われども、経済的なメリットの為に現在も日本の窓枠の主流はアルミだということに変わりはないようです。初期投資としては、アルミを使うことが金額的なメリットになるかもしれません。しかし、家はこの先30年以上住むともなれば、その間寒さや結露に悩まされながら、なかなか温まらない部屋を暖めるための高い光熱費を払い続ける方がよっぽど不経済ではありませんか?

また、サッシの性能を高めると同時に、ガラス部分も断熱対策が必要です。ガラス自体の熱貫流率は、1.00W/m・Kと単体でもアルミの約200倍断熱性能が良いです。最近はどのメーカーでも、ペアガラス・トリプルガラスを採用するのがスタンダードになってきました。ペアガラス、トリプルガラス、とはガラスが複層になっているもので、間に空気の層を持つものです。空気の熱伝導率は0.024W/mKですから、この中間の空気層が、断熱材の役割を果たしてくれます。

YKKサイトより引用

ダウンジャケットは、衣服の中に大きな空気層を持ちます。ダウンジャケットや羽毛布団が暖かいのと同じ原理です。ガラスが2枚、空気層が1層のものがペアガラス。ガラスが3枚、空気層が2層あるものがトリプルガラスです。(上記資料はトリプルガラス)空気層が大きいほど、断熱性能が高まりますので、ペアガラス<トリプルガラスとなります。

空間層にはアルゴンガスといわれる、空気に比べ30%熱伝導を抑制する気体を入れているものや、熱伝導ほぼゼロの真空状態にしているもの、トリプルガラスを採用してガスと真空の層を両方取り入れているものもあります。

 

YKKサイトより引用

また、このガラスとガラスの間に挟まって、空間層の形状を維持している「スペーサー」というものがありますがこれも重要になってきます。素材としては樹脂スペーサーと、アルミスペーサーがあります。(真空ガラスの場合は、空間層が非常に狭いので、ステンレス製0.5ミリのステンレス製マイクロスペーサーがガラスとガラスの間に複数封入されています。)複層ガラスの性能は空間層によって生み出されているといっても過言ではなく、スペーサー部分は、断熱性能を発揮する上でとても重要なパーツです。窓枠の部分のお話でも触れましたが、アルミと樹脂では熱貫流率が全然違います。樹脂の方が、性能面でアルミを上回ることは明らかです。価格はそのぶん上がってしまいますが、樹脂のスペーサーを利用するメリットは大きいと言えるでしょう。

また、断熱性能をより高めるために、ガラスに放射性能を上げる加工が施されているものがあります。

放射性能とは、一言でいうと熱の移動を防ぐ性能を意味します。(熱の移動には、放射・対流・伝導の3つのパターンがあり、このうちの放射を抑えることを低放射といいます。)低放射性能を搭載したガラスをLow-E複層ガラスといい、中空層にLow-E膜といって、銀、酸化亜鉛、酸化スズなどの低放射性能を発揮する金属の膜が塗装されています。何も張られてない普通のガラスと比べると約8倍放射を抑えてくれます。

また、膜を室内側のガラスに貼ると断熱性能を高めながら程よく日差しをとり込み、室外側に貼ると日差しをカットしてくれます。住んでいる地域の特性に合わせて選ぶことで、より快適な暮らしが手に入ります。

このように、窓一つとっても、選ぶものによってその後の暮らしが大きく変わります。

ご予算や、住んでいる地域によっても何を選ぶのがベストなのかは違ってくるとは思います。しかし、多少価格が上がったとしても、暮らしていく上での快適性や、今後の光熱費の支払いが少なく済むということを考えると、目先の値段だけではなく、しっかり性能を見極めて選ぶ必要があると感じます。家づくりを考えていらっしゃる方のご参考になれば幸いです。

新築だけでなく、窓のリフォームやリノベーションで大きく性能の向上が可能です。まずは窓の性能を上げて、寒い家とおさらばしましょう。

 

 

この頃の投稿