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実務者もわかってない、断熱性能の基本のおさらい。

投稿日 : 2021年12月27日 (月)
カテゴリー : 暮らしの情報

断熱気密、断熱性能、温熱環境、エネルギー効率、冷暖房負荷・・・。わかります。嫌ですね。ほんとにこの難しそうな響き、考えたくない言葉ですよね(笑)

でも少しは知らないといけないし、大事らしいし?お任せできる会社を決めるまでは一応ネットで情報を集めて、、

そんな感じでちょっと拒否反応を抱きながら情報収集している方に、ざっくりイメージだけ理解してもらえればいいなと思います。

題名にあるように、実務者も断熱について詳しく正確に理解している人は実は少ないです。多分、営業の方たちは建材メーカーからの受け売りとかでしか知識が入ってこなかったり、技術的な専門よりの方たちは長年培った感覚や腕勝負で、断熱計算のようなところは苦手だったりします。

 

お客さんでよくお見かけするパターンです。建築会社を比較検討している中で、まず、断熱は大事でしっかりすると快適に過ごせる。ヒートショックを筆頭に、断熱がしっかりしていると健康面でも様々な恩恵を受ける。ということをはじめに知ると思います。経済的にもなるし、快適だし、断熱いいなと思うわけです。

そしていろんなハウスメーカーの比較検討していく中で、断熱材に何を使うかでそれぞれのデメリットを聞かされて、断熱材の種類は何を使っているかが大事な視点になっていくことが多い。。

でも、そんなの順番が違うということ。『断熱ってなにをいってるのか、どこを見ていかないといけないのか』の根本を今回簡単にお話しさせていただきます。

例えば、秋になって、寒くなってきたな、ということで薄めのアウターを羽織ります。多分厚みはまだ1層で薄い。しばらくして、アウターは厚手のものに切り替えて、ちょっとゴワっとシルエットは大きめになりませんか?

ダウンコートを想定してください。冬の初めはウルトラライトダウンでコンパクト。さらに寒くなってからはカナダグースのようなゴワゴワした大きなアウターを着る、このイメージを断熱材に当てはめて解説していきます。

熱の通しにくさは、物体も材料もこの世の中のいろんなもののなかで、空気が熱を伝えにくい第2位なんです。1位は空気がない真空です。いろんな断熱材の素材がありますが、あれはダウンのコートと同じように、空気を閉じ込めようとしています。そして、その空気の層が厚くなるほど断熱が効いていきます。もこもこの大きなダウンコートは暖かいですよね。

また、空気が対流すると断熱にならないので、空気を動かないよう閉じ込めるためにダウンコートは羽や綿を入れています。複層ガラスはだいたい12~18㎜の層にして対流が起きにくいギリギリの空気層にして断熱を高めています。逆に、夏用の作業服で、ファンが洋服の中に空気を送って風船のように膨らんでるのを見たことありませんか?空気が流れていて夏はその服だと涼しいです。

このように、大事なのは、その対流のない空気の層がどれだけ分厚くありますか?ということ。家も同じように、断熱材で動かない空気をまとっているんです。

断熱材はそれぞれなんの材料で空気を動かないように閉じ込めようか?というもので、種類によって施工精度がかわったり、材料そのものの熱伝導率が変わったりしているんです。

だから結論、どんな材料の断熱材をつかうかよりも、その材料でどのくらい厚みをとって、断熱性能をどの程度目標に担保していくか。施工精度は管理できるのか。が大事で、根本理解がされていないと順番が変だなあと思うわけです。

気密は断熱性能を高めるうえで、ちゃんとできていないと地雷をばらまいているようなもの(長くなるので詳しくはまたいつか)なので『断熱気密』とセットで言われるように2つ揃えて高めていくべきなんです。

実務者が断熱をわかっていない。性能の計算ができていない。施工精度がわるいとどうなるのかの怖さを知らない。そんなところが半分くらいはまだあるらしいです。

家を考えている人が知識を持って、判断できるようにならないといけないという業界が変ですよね。

 

なんとなく『断熱ってなに?』の根本を掴んでもらえたなら幸いです☺

家に使う材料は木材だったり断熱材だったり基礎のコンクリートだったり様々ですが、それぞれ熱の通しやすさを数字で追いかけて、家全体の熱の通しにくさ(断熱性能)を出していきます。

 

断熱性能を出したその先に見えることもついでに少しだけご紹介します☺(これ以上難しいお話は、もうお腹いっぱいですという方はごめんなさい😂)

冬は寒い外と暖かい部屋の中とで、20度くらい温度差があります。温度差が大きいと、家の熱も冬は性能に伴ってたくさん出ていきます。室内温度をキープするためにはどれくらい暖房を足さないといけないのかだったり、暖房を切った後の室内温度の変化が数字で見えてきます。

また、その性能の家での暮らし方を想定しながら、6畳用エアコン1台のエネルギーで全館空調が達成できるかも事前にチェックができます。間取りや窓の位置や方角、すべてが関係してきますので、同じ断熱性能でも1棟1棟異なる温熱環境が見えてきます。

この家はこんな構成でできていて、窓からの太陽の熱がどれほど入って夜は逃げて、内部発熱はこれくらい、水分量やエネルギーの流量はどれくらい、、きっとこんな室内環境で快適さはこんな感じかな、、、このように、見えないものを計画時から全部計算でわかるってすごいですよね。ここまで理解して計算されている師匠が全国にはいらっしゃるので、勉強させていただいてます。

物理と化学をもっと勉強してて、教授レベルにわかってたら見える世界はもっとおもしろかったろうなと思います。数字でみる家づくりって思っているより深くておもしろいですよ☺

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