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デンマークの灯り展

投稿日 : 2018年10月01日 (月)
カテゴリー : 日々の記録

ビビットな色合いと大胆な柄が人気のマリメッコや、デザイン性と機能性をかねそなえた食器ブランドのイッタラなど、衣類や生活雑貨において「北欧デザイン」が日本で人気を集めています。また、家具の分野でもスウェーデン発祥の世界最大のインテリアメーカーIKEAは、私たちが手頃な価格で北欧家具を入手できるとあって、実際に使っている人も多いのではないでしょうか。では、北欧家具はどのようにして生まれたのでしょう。
デンマークやスウェーデン、フィンランド、ノルウェーなどの北欧諸国は、冬になると天候が悪いうえに日照時間の短い、寒く暗い時期が長く続きます。よって家の中で暮らす時間が長い北欧では、シンプルで飽きのこないデザインや実用性の高い家具が誕生したとされています。とりわけ、光の乏しい時間のなかでの暮らしを少しでも豊かにすべく、キャンドルや照明とともに生活するという「灯りの文化」が根付いてきたように思います。中でもデンマークでは、著名な建築家やデザイナーによって多くの優れた照明器具が世に送り出されてきました。デンマークが北欧家具の中心地であり、発祥の地であると言われる所以のひとつです。

現在、九州産業大学で開催されている「デンマークの灯り展」ではデンマークの照明の歴史に加え、それらの照明が実際に使われている様子を捉えた写真や、「近代照明の父」と呼ばれたポール・ヘニングセンといったデンマークを代表とするデザイナーの紹介などからデンマークの照明が形作られた背景や思想、文化などを知ることができます。

「夜は昼にはならない」。これはポール・ヘニングセンの言葉です。厳しい環境下で暮らす北欧の人々が、光と闇のサイクルを受け止め、そのうえで光を基盤に生活するという新たな文化を形成してきたことを示唆しているように思います。
日本の住宅の多くは天井の真ん中に明るい大きな照明がつけられています。蛍光灯の白い光で照らされたその空間はひとつの単調な場所になり、部屋の中のさまざまな家具の魅力さえも失わせてしまうことがあります。日本にも蝋燭や提灯といったものがあるように、かつては暗さの中に美を見出す豊かな灯りの文化があったはずですが、時代の流れの中で暗い部屋は貧しいと感じられたことや、照明を単に明るさの道具として捉えられたことが失われてしまった理由かもしれません。
夜の闇や冬の暗さがあるからこそ、光の存在を知る、ただ明るければいいということではなく、闇や暗さを含めての「灯り」であるということに今一度気づかされました。

フルマークハウスでは、今月「夜の見学会&相談会」を開催しております。温かみのある、灯りをこの機会に是非、ご体感しにお越しください。

 

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