暮らしの手帖

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シロアリ対策ってどうするの?

投稿日 : 2020年07月08日 (水)
カテゴリー : 暮らしの情報

住宅の敵、シロアリは、アリという言葉が付いていますが、蟻とは食性も属性も異なり、実はゴキブリの仲間です。(これを聞くと余計嫌になりますね。笑)地中で生活する生物なのであまり見かけませんが、全然珍しいものではなく、約3100種くらいが現在までで見つかっており、日本にも約20種類のシロアリが生息しています。

〝シロアリ=益虫〟のイメージが強いですが、3000種以上いる中で、害を与える種類は実は30分の1以下と言われており、全部が全部益虫というわけではありません。無害なシロアリの多くは山林に生息し、枯死木や落ち葉を食べ物として、物質循環に大きな役割を果たしています。

実際に、日本に生息しているシロアリの中で重要な加害種として知られているのはヤマトシロアリイエシロアリダイコクシロアリアメリカカンザイシロアリの4種です。

 

シロアリの生態について

蟻は女王蟻を中心とした社会であるのに対し、シロアリは女王と王様を中心とした昆虫社会で生活しています。

↑シロアリの階級社会

シロアリはもともと、幼虫の段階では全て同じですが、女王・王様の出すフェロモンによってどの役割が当てられるか振り分けられます。コロニーが大きくなると、ニンフが増えて、羽アリとなって新しいコロニーをつくるために飛び立ちます。そしてまた新しい女王と王が生まれ、コロニーをつくり、繁殖していきます。

住宅被害でシロアリを発見するタイミングとして多いのが、この羽アリの発生時と言われています。羽アリを発見したときは、もう成熟したシロアリの巣がすぐそこにあるということになります。特に室内で発見してしまった場合はすぐに床下の点検を行わなければいけません。

 

シロアリはどうやって住宅に侵入しているの?

シロアリは、デリケートな生き物で、光・風(空気の流れ)・乾燥を嫌います。その為、暗くて風がなくて湿っている、最高の環境である土の中にいます。家の中でそれに充たる場所というのが、床下です。

引用:https://www.shut-teoria.com/column/shiroari/

床下からシロアリたちは家の構造材である、大好きな木材の主成分、セルロースを求めて出発します。その際も、自分たちの好む環境で移動できるよう、〝蟻道(ぎどう)〟という自分たちの分泌物と土でつくったトンネルのようなものをつくり、その中を進みます。

床下がコンクリートで覆われているベタ基礎の家が最近はほとんどで、「上がってこない、大丈夫。」と思いたいところですが、コンクリートは打設後どうしても収縮が起こってしまう素材です。構造・耐震上は何も問題ないのですが、わずかな隙間(0.6㎜ほど…)からシロアリは出入りが出来てしまいます。ですので、安心はできません。

 

シロアリ対策ってどんなものがあるの?

その為、きちんと対策をしておく必要があります。(現行の建築基準法でも、構造上重要な柱・筋交い・土台部分などは地面から1m以内の部分には防腐措置、シロアリやその他害虫対策を行わなければいけない、と規定されています。)

シロアリ対策は大きく言うと2つの方法があり、

バリア工法(液剤工法)といって、シロアリが建物の中に侵入できないようにバリアを張る施工方法です。シロアリが好む床下や、構造材自体への散布などがあり、液状の薬剤を専用の機器で霧状に噴射します。

薬剤の種類は様々ですが、ちなみにホウ酸処理などもこの工法のひとつです。ホウ酸は人や動物には無害ですが、腎臓を持たない生物が分解できない成分が入っています。また、たいていのものは薬剤の効果が5年くらいで切れてしまうものが多く、再施工が必要なものがほとんどですが、ホウ酸は効果が低下しません。安全で、効果が長持ちするのが特徴です。

 

もう一つの方法として、ベイト工法があります。

人間にとっては無害ですが、シロアリにとっての毒餌(シロアリの脱皮を阻害する殺虫成分)を家の周辺に一定の間隔で埋めます。そしてその餌を働きアリに巣へ持ち帰らせ、みんなで分け合うことで巣を全滅させるという駆除方法です。巣の根治が出来、設置している限り効果が続くので、日本ではまだまだバリア工法が主流ですが、注目が集まっている方法です。

過去記事:セントリコン(シロアリ対策)とは


シロアリ被害の怖さ

シロアリに家が食べられてしまったからと言って、即倒壊の危険性があるわけではありません。しかし、心配なのは耐震性に大きな影響を与えてしまうという点です。

阪神淡路大震災では、倒壊した住宅の約80%以上が、シロアリ被害や木材腐朽の形跡があったというデータが得られています。その後の新潟中越地震や、東日本大震災、熊本地震などの大きな地震からも、損壊した住宅の多くから蟻害や腐朽が確認されています。こういったことから、シロアリ被害が地震時の建物倒壊に少なからず影響していることは間違いありません。

耐震性能を確保した家づくりが出来ていても、防蟻・防腐処理がなされていなければ、安心して住み続けられません。これから新築を考えていらっしゃるのであれば、ここもセットでしっかり対策を売っておく必要がありそうです。

シロアリが絶滅することは考えにくいですし、家と生活を守るためには継続して行える対策を選択したいですよね。これからお家づくりを検討している方は、お願いする会社さんがどういった対策を行っているか、また、どれくらいでその効果がなくなってしまい、再施工が必要なものなのかも含め、確認しておきましょう。

 

 

 

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