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有田の百田陶園さんにお邪魔してきました。

投稿日 : 2019年09月15日 (日)
カテゴリー : 日々の記録

こんにちは。

先日、FM STOREで新しくお取り扱いさせて頂く商品(1616/arita japan)の製造元、百田陶園さんにお邪魔してきました。百田陶園さんは、前身となるご先祖まで遡ると1647年、江戸時代から窯焼きに従事してきました。現在は有田焼の総合商社として、地域の窯元さんと一緒にモノづくりを行っています。

 

1616/arita japan とは?

1616/arita japan のブランドは、有田焼の伝統を受け継ぎつつ、新しいデザインアプローチを加えた器のシリーズで、2012年に柳原照弘、ショルテン&バーイングスの二人のデザイナーを迎え、豊富な経験と技術をもつ有田の人々と共にスタートしました。

1616/arita Japanのクリエイティブディレクターである柳原照弘は、陶磁器の可能性を試みた新しい素材を用いながらも、多様な食生活に対応する「スタンダード」のデザインを担当。

 

引用:https://1616arita.jp/about/

色、形、それぞれ非常にシンプルですが毎日の食卓はもちろん、おもてなしにも使いたい洗練されたデザインです。

もう一人のデザイナーである、ショルテン&バーイングスはオランダ人のデザイナーで、「カラーポーセリン」と呼ばれる日本の伝統色を再解釈したシリーズを生み出しました。

 

釉薬の濃淡や、透明感が美しいシリーズで、職人が熟練の技で1つ1つ吹き付けで染色を行っています。

有田焼の産地である佐賀県、有田は1616年に陶祖 李参平によって日本で最初に陶磁器が作られたとされる場所です。それから約400年の間に有田の地で受け継がれてきた技術には、妥協のないモノづくりの精神が宿っています。

1616/arta japan のブランド名は、有田の物づくりの起源に由来し、これまでの有田焼の伝統を踏襲しつつ、デザイナーごとに新たなデザインを加え、日本の伝統を今までとは違った形で伝え、新しい価値を提案しています。

 

百田陶園さんを訪ねて

お邪魔してきたのは、先月の北部九州が大雨に見舞われた時期だったのですが、大変な時だったにも関わらず快く有田の地や工場をご案内してくださいました。

「ある程度成型された見た目と豊富なサイズ展開、価格もそう高くはないことから、機械作業による工業製品だと思っている人も多いけど、実は全工程に人の手が関わっているんですよ。」と百田さん。

私自身、恥ずかしながら全部の工程に人の手が関わっているとは思っていなかったので驚きました。

 

 

この写真は、有田中心部にある泉山という、磁石で出来た岩山です。今はほとんど採掘されていませんが、以前はこちらから採掘し、陶磁器の原料をつくり出していたんだそうです。(今は熊本の方から良い磁石が取れるので、そこから取り寄せているそうです)

岩を削り、磁石を運び、磁石から陶磁器の原料を作り、成型し、仕上げを行い、焼成。。。一つの器をつくるのにはたくさんの工程があり、これらは一つの工場でオートメーション化されているわけではありません。それぞれの工程を昔から担ってきた有田の職人さんたちがいて、今もなお、それぞれのプロが分業し、チームワークで器が出来上がっています。有田の地域が1616/arita japanの製品を通して繋がっているイメージなんですが、それもすごく素敵だなと感じました。

 

 

こちらは、磁石から陶磁器の原料をつくる工場です。磁石を緑色の装置で細かく砕き、水路で撹拌します。撹拌したものをろ過し、上澄みの部分からさらに不純物を取り除きます。

 

 

↑ 工程を終えて、粘土状に仕上がった原料。

これらを、作るものによって水を混ぜて堅さを整え、使用するそうです。

 

 

こちらは場所を移動して成型の工場です。
商品の形によって型成型なのか、ろくろ成型なのかに違いがあり、TY palace のシリーズは型成型されています。型の中に陶土を流し込み、成型されたものを型から取出します。写真は仕上げに1616の印を入れている様子です。型も繰り返し使うと劣化し、製品のフォルムに影響してくるので管理が欠かせないそうです。

 

 

成型されたもののチェックも一つ一つ手作業で行われます。工場の機械作業ばかりではないと聞いてはいましたが、こんなに人の手が加わっているとは思いませんでした。

その後成型されたものは焼成の工場に運ばれます。

 

 

成型し、乾燥させた素地を、一度素焼きといって900℃くらいの低い温度で焼くそうです。これによって本焼成の際に収収縮率が大きくなって割れるのを防いだり、その後の釉薬づけがしやすくなるそうです。

素焼きの後は本焼成で1300℃くらいの高温で焼き上げ、ゆっくり窯の中で冷ましながら3日後に取り出します。高温で長い時間をかけ焼いていくことで、より高い強度の器をつくることが出来ます。通常の焼き物が業務用として使用される場合、年間でのチップ率(欠ける確率)は3~4割と言われていますが、1616のシリーズは、1割以下ととても堅牢に出来ています。

また、窯で焼く際、焼き物の性質上必ず収縮が起こりますが、直線のラインがとても美しく出ています。これは有田の職人さんの非常に優れた技術があってこそ成り立つデザインなんだそうです。

 

 

何人もの有田の優れた職人さんの技によって完成している商品。ぱっと見ではわからない商品の作られた背景を知ることで、製品を購入することがその地、職人さんたちの仕事を評価し、文化を守っていくことにも繋がるんだなということを改めて実感しました。

現在百田さんのショールームは改装中で見れないのですが、アリタセラ内に来年1月下旬には工事が終了し、RENEWAL OPEN予定です。
また、近くにarita huisという実際に1616の食器を手にして食事ができる場所もあります。とっても素敵な空間なので、ドライブがてら少し遠出をするのにもおすすめです!機会があればぜひお出かけください^^

百田陶園さん、ご案内いただきありがとうございました。

 

 

 

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