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結露に困る季節となりました

投稿日 : 2018年12月26日 (水)
カテゴリー : 暮らしの情報

寒くなり、暖房やストーブが活躍する季節となりました。いろんなところから、窓の結露に関する悩みや憂鬱な声が聞こえてきます。困っている方は、もしかしたら結露発生のメカニズムを知れば改善されるかもしれませんし、新築にすればすべては解決するのだという夢から覚めるかもしれません。どんな新築の家でも絶対に結露しないとはいえません。自然の原理を知った上で、ちゃんとした対策や性能が必要になります。

結露の怖さ、、それは窓際の水滴と、水滴によるカビやダニ。カーテンや壁がカビで黒くなったり、健康被害の心配、、毎朝目にしてはげんなりしてしまいます。

しかし、設計施工者方から言うと目に見えないところにも結露の本当の怖さは潜んでいます。それは建物の内部・構造を腐食し、見えていないうちに建物の耐久性が悪くなっているのです。簡単にいうと、木部は腐り、ひどくなると構造は歪んだり強度がなくなります。傷んだところから雨の侵入が始まってしまったり、腐った木部はシロアリの大好物です。

住まいの結露はどうして発生するのでしょう?ぼんやりとイメージが付く方も多いのではないでしょうか。中学校時代に理科の勉強で習った露天温度やコップにつく結露。そのイメージがほぼ正解です。結露を引き起こす要因は『温度』と『結露』です。

単刀直入にいいますと、新築で性能の高い家を建てたとしても、その時の状態次第で結露は起こりえます。結露が起こるかどうか、それは数字として管理ができ、結露するという把握も対策も可能なものです。知識があれば、ぐっと結露のことが理解できます。

イメージとして前提に持っておいてほしいのが、温度(気温)が高いと空気の中にたくさん水蒸気をため込める、寒くなり温度が下がると空気中に水蒸気を少ししか溜め込めなくなる、、そんなキャラ設定をイメージしてはどうでしょう?

寒いと水蒸気を溜め込めなくなるので、部屋の温度が下がるとあふれ出す水蒸気分が結露として出てくる、、湿度が高ければもちろん水蒸気を溜め込める許容量が残り少しとなるので結露しやすくなる(=露点温度が高くなる)乾燥した湿度の低い部屋は、まだ水蒸気を溜め込めるよということで結露しにくくなります(=露点温度が低くなる)。このイメージが共有できている前提の上でお話を進めます。

①温度が低くなると結露しやすい。そして、②湿気が多いと結露しやすい。

結露を抑えるためには、室内の湿気(水蒸気)を減らすことが効果的です。以外にも、人は睡眠時1晩7時間で約570mlも水分を出しています。石油ストーブからは1時間に400ml、ガス調理で夕飯時1.1L、洗濯物の部屋干しでは1.8Lも水分は発生しているらしいです。

適切な湿度は40%~60%といわれています。バクテリア・ウイルスはだいたい40~60%のときに発生しにくくなりますし、カビやダニは湿度60%以上で結露が発生しだすと快適で活発になるようです。インフルエンザ予防も湿度は60%くらいが効果的といわれます。

湿度をコントロールするには、換気と除湿、また石油ストーブやガスストーブなどの水蒸気の発生源を減らしてエアコンの暖房を利用する、、加湿器の過度な利用は結露の原因になることがあります。温度だけでなく、湿度に注目をすると結露をコントロールしていくことができます。

こちらは湿り空気線図といって、何か2つの値がわかればもうひとつの値が導けるもので、難しいものが載ってますが、簡単にいうと温度と湿度がわかれば露天温度(結露が始まる温度)がわかるよ、というものです。計算で導くには大変で、毎回このグラフを読むのも大変なので、私は現在無料アプリで露天温度をみています。本当にこれは便利でお勧めです。空気の計算機で検索してみてください。空気の計算機 apple

部屋に温度と湿度がわかるデジタル時計などを置いてもらって、2つの値を入力すると露点温度がわかります。その部屋で何度まで温度が下がったら水蒸気量が限界で、結露しだすのかということが数字として把握できます。

ここで、数字を見て、露点温度より下回ってないのに窓の際には結露をしている、というご家庭がたくさんあると思います。それは何故か、原因は窓の性能の悪さです。

住まいの中で、外部から生活空間を分けている外壁と屋根ですが、その中で暑さ寒さに関して家に穴をあけるような悪さをしてくれるのが、開口部と言われる窓や玄関ドアです。普段の生活では、景色を切り取り色どりをもたらしてくれたり、天気を教えてくれて、明るさや星空をくれるのに、室内環境・肌感覚に関わる断熱に関しては弱点となっていることが多いのが、日本の住宅です。例え断熱性能が高い国でも、窓は外壁より弱点になることには変わりないです。

今までの家づくりで普及しているアルミの窓は、外の冷たい温度を伝えやすいので、部屋の中の温度と外の温度を直に伝えてしまっている窓回りではグッと温度差が生じ、結露してします。窓回りのアルミ部分とガラス、どちらも熱の伝えやすさの性能値がそれぞれあり、例えばアルミより樹脂は熱伝導率でいうと1000倍も熱を伝えない材料です。ですので、断熱性能を高めるためにはアルミの窓より樹脂窓が効果的です。フルマークハウスでは、さらに断熱遮熱のための金属のフィルム加工のLowEガラスを用いた2重のガラス層の樹脂窓を標準として家づくりをしています。

朝起きると、どうしても窓回りに結露している、、。性能を少し高めた省エネ住宅と言われるような新築であっても(国の定める長崎での断熱の基準値:Ua値0.87、Q値2.7くらいの家)、窓は価格を抑えるために性能はさほど良いものを選ばれていません。ですので、夜に室内は暖房器具によって暖かい、しかし、カーテンを閉めてしまうと、室内とカーテン窓の仕切られた空間で、温度差が平均6度近く生じているそうです。このため、温度の低いカーテンで仕切られた窓辺は露点温度に達してしまい結露してしまいます。また、窓で冷えた空気はコールドドラフト現象といって窓面から滝のように滑り落ちるので、窓の下部分が冷えてしまうことも原因かもしれません。寒い国では、コールドドラフトの対策で窓の下にヒーターが設置されているのを映画でみかけたことがないですか?ちなみにそんな家には掃き出し窓なんてほとんどありませんね。

新築を考えている方は、これからの家づくりの参考になれば幸いです。では、既存の賃貸や家ではどう対策をするか。窓の性能は大事だけど簡単に替えられるものではありません、、ガラスに貼るフィルムでどこまで効果が得られるかやってみたり、カーテンをこまめに開ける、空気が通う箇所をつくり温度が部屋と一定になるようにする、ということで少しはマシになるかもしれません。

復習です、①温度が低くなると結露しやすい。そして、②湿気が多いと結露しやすい。

湿度をコントロールしてもやはり、温度が低いところ・温度差の大きいところは結露しやすいです。住まいの中に温度の低い部分を作らないことも結露防止の重要なポイントです。住まいの温度を快適に安定させるには、住まい全体の断熱化が効果的です。窓枠や窓ガラス、玄関ドアはやはり弱点で結露が発生しやすいですが、さらに、家具の後ろや押し入れは空気が流れず、こもりやすいので温度が低くなり結露が発生しやすいです。断熱をしていない家では、暖かい部屋から寒い部屋に湿気が流れ込むと温度差によって結露が発生します。

住まい全体の断熱性能を上げることが一番の対策と言えます。魔法瓶のような家は、住まい全体の温度が保温され、換気計画・空調計画をしっかり行えば結露が発生しにくいです。

さらに有効なことは、調湿をする素材で家づくりをすること。インテリアもおなじです。呼吸する素材は、木であったり漆喰であったり塗壁であったり、、本物のものです。無機質ではなく、調湿して呼吸をするような素材は多少の湿気をコントロールしてくれます。自然素材のものが多く、身体にも優しいです。リフォームでも、漆喰壁や珪藻土の塗壁を一部でも採用したお家は、効果が実感できると思います。

まとめ

結露を抑えるには、室内の水蒸気を減らす。充分な換気をする、水蒸気の発生源を少なくするために洗濯物の部屋干しは除湿器のある部屋でする、暖房器具をエアコンなど水蒸気を出さないものに替える、など気を付けるだけで違うと思います。結露に煩わされない快適な生活のために、温度と湿度を見て把握し、コントロールできるところは頑張ってみてください。仕組みがわかれば、対策と気持ちの安心材料にはなるはずです。

さらに、家全体の断熱性能を求める。窓やガラスは嫌な結露を引き起こす原因になるので、窓やガラスの性能は大事。住まいに調湿する素材を使っていくと、快適さが増す。

なんとなく、結露や湿気のことがわかってきて、お住まいの住みこなし方の材料となればいいなと思います。温度は同じでも、乾燥したところより適度な加湿をされた空間の方が体感として暖かいです。まだまだこれから寒くなりますが、湿気を味方にしてインフルエンザなどの対策をしていきましょう。

 

 

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