暮らしの手帖
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天井現し(あらわし)のメリット・デメリットは?

木造住宅の場合、木の梁を見せる方法で、天井現し(構造現し)という方法があります。最近の住まいの多くは、天井や柱の木が見えなくなることが多く、見かけることも少なくなりました。構造である木材を見せる工法を「真壁」と呼び、木材を覆い見せなくなる工法を「大壁」と呼びます。
1.「真壁」と「大壁」の違い
先ほどもお伝えしましたが、構造である木材を見せる工法を「真壁」、構造の木材を覆い見せなくなる工法を「大壁」と呼びます。昔の建物の多くは、柱や梁がそのまま見える建物が多くありましたが、最近の建物では構造の木材が見えなくなることの方が多く、木が見えていることが珍しくなりました。
建築基準法の改訂などから、燃えにくい建物を作ることが求められるようになり、石膏ボード(プラスターボード)で木材を覆ってしまうことで燃えにくい建物を作りやすくなったため、大壁が主流にもなっているようです。
「真壁」「大壁」の違いを確認頂いたところで、それぞれのメリットがお互いのデメリットでもありますので、それらを見ていきたいと思います。
2.「真壁」と「大壁」のメリット・デメリット
「真壁」の場合、柱や梁の構造材がそのまま見えてくるため、梁のサイズなどがバラバラでは見た目がよくなく、綺麗に揃えて構造を組むことになります。そのため、構造を優先とした間取りが求められることになり、好きなような間取りが作りにくくなります。また、照明器具やコンセントの位置なども好きな場所に取り付けることも難しくなります。
その反面「大壁」では、石膏ボードで覆い隠してしまうため、梁のサイズがバラバラでも見えなくなるため、ある程度好きな間取りが可能になります。また、照明器具などもある程度好きな場所に取り付けることも可能なため、融通が利きやすい工法になります。
見た目だけの話をすると、「真壁」の場合、柱、梁の木材が見えるため、ゴツゴツした?力強い印象を受けます。また、構造材は節があるものが多くなるため、節がそのまま見えることになるため、その見た目を苦手な方もいるようです。
では、節のないものにしたらいいじゃないか?というようなご意見もありますが、節の少ないものを選ぶと、木材の費用が高くなってしまうため現実的ではないことがほとんどです。
それに比べ「大壁」は、石膏ボードで覆ってしまうため、節も見えなくなり、木の持っている力強い印象とは異なり、さっぱりと優しい印象を受けるようです。
木が見えた方(真壁)が石膏ボードを貼らなくて済むため、安くなるんではないか?という風に思われることもありますが、石膏ボードを貼らないで仕上げないといけないため、反対に手間暇が掛かることが多く、会社さんによっては、高くなることもあるようです。


3.構造現しの注意点
先ほどからお伝えしている通り、構造現しには構造優先とした考えが必要なため、希望される方は間取りに制限や制約が掛かるため理解が必要です。また、打ち合わせの初めに設計者の方に伝えておかないと、打ち合わせが無駄になってしまうこともあります。また、構造現しの場合、石膏ボードで覆わないために、火災保険が一般価格になります。石膏ボードで覆うと、省令準耐火構造というものを選ぶことができ、火災保険が安くなることがあります。住宅会社の中では、火災保険が安くなることをメリットと伝えることもあるようです。しかし、火災保険のために家を建てる訳ではありませんので、全体を通してしっかり検討する必要があります。
4.まとめ
天井現しから話が飛躍し、「真壁」「大壁」の話にまでなりましたが、最近ではいろんな情報が容易に取得できるため、家づくりにおいて色んなことを取り入れたい方が多くなりました。計画に制約のある「真壁」とある程度自由に計画がつくれる「大壁」。このメリットデメリットを踏まえたときに、「大壁」で木材を覆ってしまうことが多いように思います。見た目の問題もありますので、このことを事前に知った上で、計画を進めて頂きたいと思います。